人形の君に心をあげる。
持ち物を荒らされて、全身けがを負って倒れていたから...そう思った?
そんなことがあるだろうか...
いや、仮に、そうだったとしてもだ。
そうだったとしても、何かがおかしい。
何かが引っ掛かるんだ。
頭の中で昨日のことを思い出してみる。
『由比愛也くん―――』
『君を迎えに来たんだ』
...そうだ
あの時、男は俺にそう言ったんだ。
あの男は俺を知っていた。
それでいて、俺を『迎えに来た』と言った。
...どういうことだ
あの男は俺を最初からここに連れてきたかった...?
いや、待て。
それ以前にだ。
...どうして
どうして、あの男は俺の名前を知っていたんだ...?