人形の君に心をあげる。
「あなたはここに居続けるおつもりですか?
それとも、
ここから出たいとお考えですか?」
その表情はあまりにも真剣だった。
「...ここを出る?」
そんなことができるのか?
さっき屋敷を探索して回った時、あらゆる角度から屋敷のまわりを見た。
この庭園同様、整備されているタイル張りの広場が屋敷のまわりを囲み、その先は深い森のようになっていた。
だからこそ俺はここを町からはかなり外れたところだと思ったんだ。
...それをどうやって?
「私はその方法を一つだけ知っています。」
庭師はもう一度周囲に誰もいないことを確認し、小さく指をさす。
垣根と、その先の林の中を。
「この先に、あるお屋敷がございます。」