人形の君に心をあげる。
「...?だってさっき...この先には何も...」
「嘘を申し上げたこと、どうかお許しください。」
「...嘘?」
庭師は本当に申し訳なさそうに、何度も謝る。
俺はそれをなだめながら、話を続けさせた。
庭師の言うところによると、本当はこの先にはある家族が暮らす、大きな屋敷が1つだけあるらしい。
本来なら、その屋敷には近づいてはいけないらしく、俺が垣根の先をのぞこうとしているのを見て、興味本位に詮索しようとしていると勘違いした庭師がとっさに嘘をついた
ということらしい。
「事情が事情です。訳を話せばきっとあなたを助けてくださるはずです。」
老人は俺の手を両手で包み込む。
「もしあなたがお逃げになるというなら、この私がそのお屋敷まで案内いたします。」