人形の君に心をあげる。
右手につかんだ、根がむき出しの花を彼に向かって差し出す。
「...」
冷たい彼の視線が私を見据えている。
”怒り”を隠そうともしないその態度。
...だから君はバトラーには向かないんだ
バトラーは常に冷静沈着でなければならない。
なのに、君ときたら、すぐに情に流される...
「幸い、彼には頼る人も、帰る場所もない。
彼がここから出ていくことは決してない。」
「...ふざけないでいただきたい。
あなたは、花の観察に飽きたから...今度は人間にすると、そうおっしゃっているんですか?」
何とかバトラーとしての自分を保とうとしてはいるが、その声は怒りに震えている。
感情が殺し切れていない。
「いかにも」
そんな彼を眺めながら、平然と答える。