人形の君に心をあげる。



『えっと...』



どうしよう...


なんて言えば...



体を嫌な汗が伝う。



みんなが俺の答えを待っている。




『その...』



みんなの視線が俺に突き刺さってくる感じがする...


...痛い



みんな、俺を責めたててるわけでも、攻撃しているわけでもない。



そんなの分かってるのに、それに似た雰囲気にのまれていくような、おぼれていくような...




すごく...すごく、息苦しい空間。




それを感じるとともに

体の中で”何か”が作られ、それが俺をむしばんでいく。




それはきっと、


不安、恐怖、焦り――――――

そのどれにも表しにくく、しかしどこかそれらに似た感情。





どうにかしなくちゃ


そう叫ぶ自分がどこかにいる。




なのに、自分ではその名称の分からない感情をどうすることもできない。




『なんで黙ってるの?』



俺がそんな葛藤をしているなんて知りもしないまわりの子たちはじれったそうに俺を急かす。



俺にはその声が”早く答えろ”そう言ってるように聞こえる。




そんなこと言われたって...


俺はどうすればいいっていうんだ...




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