人形の君に心をあげる。



誰か、助けて...




そう思った、まさにその時だった。


またさっきと同じ子の声が聞こえてきた。



『やめなよ、愛也くんは―――』



みんなを止めようとする言葉だった。




...よかった、助かった


その子の声に、再び胸をなでおろす。




だけど...




『愛也くんは、施設の子なんだから』



その声を最後に、まわりの音が一瞬にして消えた。





...え?


俺は耳を疑った。




...いま、なんて言った?


...いま、何が起こった?




それはあまりに一瞬の出来事で俺にはなにがなんだか分からなかった。




だから、もう一度いまの言葉を聞き直すためにその声の持ち主を探そうと思った。



ぱっと顔をあげ、あたりを見回す。





「...」


けれど、聞く必要なんてなかった。



みんなの顔を見た瞬間全てわかったんだ。




俺を見るみんなの目が、表情が、一変した。


さっきまでの無邪気な好奇心に満ちた目が、今はそれを隠そうと、偽ろうとする目に変わっている。




”気まずい”


その場にいるみんながそんな顔をしていた。




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