人形の君に心をあげる。
男の子たちと女の子たちの言い争いは激しくなっていく。
早く収まってくれ...
そう願うばかりだった。
けれど、どちらも引く様子がなく、終わる気配がない。
もう、やめて...
そう思うのに、みんなを止められるような言葉が出てこない。
無力な俺とは反対に、大きくなっていくその空間に押しつぶされてしまいそうで、どこかに逃げてしまいたかった。
だけど、大きくなる空間が俺をその場に押さえつけているかのように、動くこともできず黙ってその長い時間を耐えることしかできなかった。
こんな話、聞きたくもない...
聞きたくない...
聞こえてくるな...
でも、いやおうなしに声が耳に入ってくるんだ。
『お前らのお母さんと話してたんだから、お前らだってどうせ知ってたんだろ』
嫌だって、聞きたくないって言ってるのに、その声は無理やり耳に入ってきて、俺の記憶にとどまる。
頭は、入ってきた言葉を処理しようと勝手に働き始める。
”お前らだってどうせ知ってた”
...じゃあ、どうしてあんな質問をしたんだ
...どうして、意味を尋ねる相手がいないって分かったうえでそんなこと言ったんだ
嫌な疑問ばかりが浮かんでくる。