人形の君に心をあげる。



ひどい


...ひどすぎる




『じゃあ、なんでそもそも名前の意味なんか聞くんだよ。”施設の子”って分かってたのに』



『そ、それは...つい...。わざとじゃないもん!ふつうにみんなに聞く感覚で...』


ばつが悪そうに、だけど、”わざとじゃない”を強調して言う。



”わざとじゃない”


その言葉は何の救いにもならなかった。



その”わざとじゃない”は俺に向けられた言葉ではないとすぐに分かった。



自分をかばうため。



この子たちが吐き出す言葉は全部自分のためのもの。




...みんな、いったい何のためにケンカしてるんだ?



”かわいそう”って言っておきながら、俺のネタでケンカをして、俺が聞きたくもない言葉を浴びせかける。



俺はこんなこと望んでないのに、みんな好き勝手言って...


言い負かされないために必死になって...



...それに、”ふつうに”って何だよ?


それじゃあまるで俺が”ふつう”じゃないみたいだろ...




「...っ」



もう耐えられない


この騒ぎを止められるか止められないか、そんなことは問題じゃない。



今言わないと...


今終わらせないと...ただ俺が苦しいだけなんだ






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