略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 すぐに離れてしまう温もりに、名残惜しさを感じる。

 とろんとした目で鼻先の瞳を見つめると、匠海はふっと笑みをこぼした。


「もっと欲しい?」


 イエスだなんて答えられずに琥珀の瞳から目線を外す。

 耳まで熱を感じると、匠海はまた優しく口唇を重ねてきた。

 触れ合う部分から、匠海の想いが流れ込んでくる。

 美郷を大切に想うあたたかな気持ちが、心地よくてたまらない。


 ずっとこのままでいられたらいいのに……。


 ちゅる、と音を鳴らして離れる匠海を、美郷は視線で追った。

 ふっと微笑んでから肩を抱き寄せてくれる匠海の首筋に、とんと頭を埋めた。


「素直だな、今日は」

「変ですか?」

「いいや? 素直で可愛い」

「またそういうこと……」

「本心しか言わないよ、俺はいつも。
 でも今日の美郷はなんだか違う。どういう心境の変化かなと思って」


 心境の変化……。

 本当に、どうしたんだろう私。

 匠海さんと、ずっとこうしていたいだなんて。
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