略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
衝撃!止められない想いの行方

*


 結局、夜になるまで匠海と一緒に居たけれど、自分の気持ちに答えを見つけられなかった。

 違う、そうじゃない。

 自分の中で生まれた気持ちに、触れるのが怖かったのだ。

 それに気づいてくれていたからなのか、匠海はあれ以上、美郷に回答を迫ることはしなかった。

 美郷自身が、自分の気持ちを受け入れることを待ってくれているかのように、ただ同じ時間をあたたかく過ごしてくれた。

 門限はあるのかと聞かれて、休日であれば21時だと答えると、匠海はその時間に間に合うように自宅近くまで送ってくれた。

 帰り際、街灯の明かりの当たらない場所で、匠海は足らないと言わんばかりに何度もキスをくれた。


 それから週末までの一週間は、とても穏やかに過ごした。

 先日のように、業務中にぼうっとすることはなく、不思議なほど順調に業務をこなした。

 当然、理子には匠海との関係がどうなっているのかと散々詰められたが、自分の気持ちも整理しないままで先走ったことは話せず、曖昧に濁すだけだった。
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