略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「最近、結城部長の家に出入りしてるのって、美郷先輩ですよね?」
カフェでゆっくりとするというわけにはいかず、人の出入りの激しい休憩室で、うぐ、っと、コンビニのたまごサンドが喉に詰まった。
慌ててあたたかいエスプレッソを流し込み事なきを得るが、あからさまな動揺に理子が肯定を見つけるのは簡単なことだった。
「やぁっぱりそうなんだ」
「ち、違うよ? 人違いよ。誰がそんなこと……」
モダンなソファに横並びに座り、ちう、とベリーのスムージーを飲む理子が、細めた横目で美郷を見る。
「窓口の子が結城部長のマンションに入っていく女性を見たって言ってて」
「ま、マンションなんてたくさん人が住んでるんだから、どこか別の家の人なんじゃないの?」
「それが、街で見かけた結城部長らしき人といた女性と、そのマンションに入っていった人が同じ人だったらしいんですよね」
動揺を隠すために理子から顔を逸らして、2個目のたまごサンドを取った手が固まった。