略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
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「すみません、匠海さん……」
「なんで美郷が謝ってるんだよ。別に何もしてないだろ」
陽翔と優花梨の元から出てきて、下降するエレベーターの中。
繫がれたままの手は、さらにしっかりと結びつきを強くする。
「美郷のせいじゃない。美郷を好きになった俺が全部責任取るし、美郷のことも幸せにする。
だから、俺とずっと一緒にいて」
匠海は突然出てきた自分の見合い話を少しも美郷に気にさせない。
必ず自分が幸せにすると断言してくれるから、その頼もしさを信じていようと思える。
優しくて頼れる匠海が好きだ。
「匠海さん……」
顔を落としてきた匠海の口唇が、優しく美郷に重なる。
すっかり彼の形を覚えている口唇は、しっとりと濡れて熱を持つ。
匠海は、わずかな隙間から美郷を求めて舌を伸ばしてくる。
火照りだした身体がたくましい腕に抱き寄せられると、すかさずふたりの重なりが深くなった。
地下駐車場に到着するまでの間、エレベーターの中で互いの想いを確かめ合う。
扉が開くと同時に解放されたけれど、不思議と淋しさは感じなかった。
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