略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
願いはひとつ。...ふたつかな?

*


『初詣行かないか?』


 匠海からそう言われたのは、新しく年が明けた夜中。

 部屋でこっそりかけていた電話越しにハッピーニューイヤーを言い合って、お互いに想いを確かめ合った。


『来年は一緒に年越せたらいいな』

「そうですね」


 1年後も、2年後も、もっとずっと先の新年も、匠海と迎えられればいいと願う。

 そのためには、乗り越えなければいけない壁があることを美郷はわかっていた。

 匠海に初詣に誘われたのは、1月3日。

 その日は、結城家に親戚が集まる日らしい。

 匠海と陽翔の祖父である結城会長に、新年の挨拶をするのが決まりになっているそうだ。

 もちろん匠海も挨拶をしなければならず、結城本家に行くことになっている。

 そこで匠海は、陽翔の婚約を解消させ、美郷との結婚を認めてもらうつもりなのだ。

 美郷とともに。
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