略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
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神社の駐車場に戻ると、匠海はすぐに車のエンジンをかけてくれた。
少しの冷風のあとに、あたたかな風が足元に吹き付けられてほっとする。
「ここで食べてから出発しようか」
「そうですね」
買ったたこ焼きをひとパック受け取ってから、マスクを外す。
なかなか食べる機会のないそれに、うきうきと胸が弾む。
今日はすごく贅沢してる気分……
たこ焼きなんて久しぶりだし、匠海さんとデートできたし。
くふふ、と至福を噛みしめていると、匠海がそっと美郷の頭に触れてきた。
「美郷……」
「はい」
頭に触れられた安心感に胸をときめかせ、隣の匠海を見上げる。
マスクを下にずらした匠海が、顔を傾けてキスをしてきた。
あたたかな口唇にやんわりと含まれ、胸がきゅんとなる。
味わうようにちゅるりと舐ってから、口唇は離された。
「好きだよ、美郷」
「……私も、です」
とろんとした眼差しで匠海を見返すと、もう一度口唇は重ねられる。
食前酒のような甘い酔いに見舞われて、ねだるようにキスを求めてしまった。