略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

*

 神社の駐車場に戻ると、匠海はすぐに車のエンジンをかけてくれた。

 少しの冷風のあとに、あたたかな風が足元に吹き付けられてほっとする。


「ここで食べてから出発しようか」

「そうですね」


 買ったたこ焼きをひとパック受け取ってから、マスクを外す。

 なかなか食べる機会のないそれに、うきうきと胸が弾む。

 
 今日はすごく贅沢してる気分……

 たこ焼きなんて久しぶりだし、匠海さんとデートできたし。


 くふふ、と至福を噛みしめていると、匠海がそっと美郷の頭に触れてきた。


「美郷……」

「はい」


 頭に触れられた安心感に胸をときめかせ、隣の匠海を見上げる。

 マスクを下にずらした匠海が、顔を傾けてキスをしてきた。

 あたたかな口唇にやんわりと含まれ、胸がきゅんとなる。

 味わうようにちゅるりと舐ってから、口唇は離された。


「好きだよ、美郷」

「……私も、です」


 とろんとした眼差しで匠海を見返すと、もう一度口唇は重ねられる。

 食前酒のような甘い酔いに見舞われて、ねだるようにキスを求めてしまった。
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