略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「乙成の孫娘か。見合い写真はまだあどけなかったが、ずいぶんと大人びてきたね」
「とんでもございません」
感心するように言う会長に頭を上げると、肘掛に頬杖をついた彼は匠海と美郷を目線だけで見比べて片眉を上げた。
「乙成のじいさんとも数週間前に話していたんだが、……まさか陽翔とではなく、匠海と挨拶に来るとは、一体どういうことかな?」
一見穏やかそうな雰囲気をまとう会長だけれど、その瞳の奥からの鋭い眼光に美郷はびくりと怖気づく。
だけど、怖がってばかりはいられない。
今日は話をするためにここへ来たのだ。
「今日はお願いにやって参りました」
匠海が切り出してくれると、美郷は畳に手をついたままもう一度しっかりと頭を下げた。
「どうか、陽翔さんと優花梨さんの仲を認めていただけないでしょうか」
その言葉に匠海は驚き、そして会長は目を細めた。