略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「知っているだろうが、あの二人は従兄妹同士。親戚内でも、もちろん世間の目も、ふたりを心から祝福するとは思えん」
美郷もそうであろうことは察していた。
厳格な家柄ならなおさら、身内内での婚姻には否定的になるのだろう。
「ですが、ふたりは心から愛し合っていて……」
「知っているよ、十分な程に」
美郷が食い下がると、わずかに冷酷さを取り下げ、会長は悲しそうに目を伏せた。
「たとえば、もしあのふたりが結婚できたとする。
陽翔は【結城】を背負って立つ男だ。だが、あいつもいつかは身を引く時が来る。そのときは、後継者が必要になる。
跡取りは、どうする?」
含めたような会長の言い方に、美郷も匠海もはっとする。
「知らないわけではないだろう? 血族同士の婚姻のリスクを」