略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「認めてもらえないものを、どうやって押し通すんだよ。
これだからお嬢様の頭はお花畑なんだよ」
「陽翔! 言い過ぎだぞ! 美郷はお前の気持ちもわかっていて、なんとかしようと……」
「匠海、陽翔」
思わず片足を上げた匠海を、会長が静かに止めた。
「お前達を仲違いさせたいわけではない。【結城】の跡取りはお前達しかいないのだから。力を合わせてこの家を守って欲しいのが、私の願いだ。
すまないね、美郷さん。みっともないところお見せして」
「いえ、私は……」
みっともないだなんて思わない。
みんな自分の想いをどうにかして遂げようと必死なのだ。
「年寄りは頭が固いと思われているんだろうな」
くく、と可笑しそうに笑った会長。
「陽翔」と呼びつけた会長は、美郷と場所を入れ替わるように言い、また将棋の駒を並べ直した。
「久しぶりに手合わせ願おうか」
「望むところだクソじじい」
なんて口の悪い言い方だろうかと思ったけれど、恐らくこれからふたりで話をするのだろう。
それを悟る匠海に促されて、ふたりは頭を下げて部屋を出た。
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