略奪宣言～エリート御曹司に溺愛されました～

「聞いてないぞ、他に好きやつがいるなんて」

「……え？」

「誰だよ。美郷が好きになったやつって」

「そ、それは……」

「答えられないか？」


　好きな人に好きな人を聞かれるなんて、とんだ辱めだ。

　けれど、匠海はそれが自分のことだと思っていない聞き方をしてくる。


「私が好きなのって、匠海さんに決まってるじゃないですか。他に誰がいるんですか……」

「は？」

「え？」


　本当のことを伝えると、匠海は首をかしげてしまった。


「好きですよ、匠海さんのこと。少し強引だけど、筋は通ってて、頼もしくて……私の事何より一番に想ってくれて。そんな匠海さんのこと、好きにならないわけないじゃないですか」


　わかっていないようだったから、はっきりと琥珀の瞳と見つめて説明する。

　口にして初めて、彼のどんなところが好きなのか、どれだけ好きなのかを思い知った。