略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「本当……? だったら他に好きな人がいるって、縁談断ったのはどうして」
「匠海さんのこと好きなのに、このまま陽翔さんと結婚なんて出来ないです。それを両親に伝えました。
私は匠海さんのそばにいたいです。できることならずっと……」
ん?と疑問を頭に抱えた匠海は、瞬きをした後に美郷に視線を戻してきた。
「なあ、その縁談って、土曜日の話だったか?」
「はい、だからもう今度こそお断りをしないといけないと思って」
言った途端に大きく溜め息を吐きながら、美郷を抱きしめる匠海。
「……んだよ、まじかよ」
「匠海さん? ……っん」
匠海が首筋に顔を埋めると、首筋にちくっとした痛みを感じた。
頬を回って、口唇に戻ってから今度は優しく甘いキスをくれる。
小さなリップ音にとろっと瞼を溶かされると、もう一度優しく抱きしめなおしてくれた匠海は、耳元で囁いた。
「お前が断った縁談、俺が相手だったんだけど」
「……ええ⁉」
衝撃的な言葉に、一瞬で目が覚める。
がばっと匠海の腕から顔を上げた美郷は、昨夜の両親との会話を思い出していた。