略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 『結城家との会食』だと言われた。

 てっきり、この前キャンセルされた陽翔との会食だとばかり思っていたのに。


「乙成家との顔合わせ、俺がセッティングしたんだ。美郷をもらうために」

「でも、結城おじさまは許して……」

「昨夜、会長のところに話しに行ったんだ。俺の両親と姉貴と一緒に。もちろん陽翔も交えて」


 匠海と陽翔の母親ふたりはお互いに相容れず、陽翔と優花梨がそれぞれをたぶらかしたのだと言って譲らなかったそう。

 それを一喝したのは結城会長だったそうだ。

 親戚がどう思おうと、これまでも陽翔と優花梨の気持ちは変わらなかったことを会長はわかっていたらしい。


「美郷が、陽翔ではなく俺と結婚したいと宣言してくれたことが、会長の考えを動かしたんだよ」

「そんな、私はただ自分勝手に……」

「自分の思いに素直だったことがよかったんだよ」


 あのとき恥ずかしげもなく思いをぶつけたことは、間違いではなかったのだ。
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