略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

「陽翔との婚約を蹴って、乙成家が俺のことを認めてくれれば、事態は変わるだろうって……。
 だから俺が、1から会食のセッティングしたのに、さっき断りの連絡入って……てっきり、俺振られたのかと思ったよ」

「振るなんて! 逆ならあっても私から匠海さんを振るなんてありえませんっ、絶対に! それならそうと……」


 そもそも昨夜きちんと話を聞かずに、会食を断ったのは自分だったと思い返す。


「逆もないよ」


 優しく微笑んでくれる匠海に、おずおずと目線を合わせる。


「美郷、結婚しよう。俺が幸せにするから」


 何度この言葉をもらっただろうか。

 婚約者からは、一度ももらえなかったのに。

 けれど、それでよかったのだ。

 きっと、陽翔の婚約がなかったら、こんなに素敵な人に巡り会っていなかったかもしれないから。


「はい、よろしくお願いします」


 照れたように答えると、匠海は優しくキスをしてくれた。
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