略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「ごめんなさい、本当に……匠海さんの気持ちは嬉しいんです。でも……」
「わかってる。君が婚約者のこと大切に思ってるってことも」
「そ――……」
“そうじゃない”と言いそうになり、慌てて口を噤む。
匠海の気持ちを無下に扱いたくなかった。
否定したところで、その気持ちに、自分の心を重ねられるわけはないのに。
「すみません……」
庇う言葉を見失い声を落としてうつむくと、匠海もまた静かに言う。
「こっちこそ、いつも困らせてごめん」
いつもと違う低い声音は、彼の本当の声だと思った。
どんな悲しい顔をさせてしまっているのかと顔を上げると、頬杖をついた匠海はまだ美郷を見つめたままだった。
憂いを帯びた琥珀の瞳に、胸の窮屈さが格段に増した。
「遅くまで付き合わせたお詫びに、家まで送るよ」
それを取り繕うように、匠海は憂いを隠してにこりと微笑む。
「そんな、申し訳ないですっ。私は仕事をしたまでで……」
掌を小さく振りながら最後まで言いきらないうちに、匠海はすっと立ち上がって美郷から目を離した。
「わかってる。君が婚約者のこと大切に思ってるってことも」
「そ――……」
“そうじゃない”と言いそうになり、慌てて口を噤む。
匠海の気持ちを無下に扱いたくなかった。
否定したところで、その気持ちに、自分の心を重ねられるわけはないのに。
「すみません……」
庇う言葉を見失い声を落としてうつむくと、匠海もまた静かに言う。
「こっちこそ、いつも困らせてごめん」
いつもと違う低い声音は、彼の本当の声だと思った。
どんな悲しい顔をさせてしまっているのかと顔を上げると、頬杖をついた匠海はまだ美郷を見つめたままだった。
憂いを帯びた琥珀の瞳に、胸の窮屈さが格段に増した。
「遅くまで付き合わせたお詫びに、家まで送るよ」
それを取り繕うように、匠海は憂いを隠してにこりと微笑む。
「そんな、申し訳ないですっ。私は仕事をしたまでで……」
掌を小さく振りながら最後まで言いきらないうちに、匠海はすっと立ち上がって美郷から目を離した。