略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 そんな疑問を履き違えたまま、匠海は長い指を折りながら律儀に答える。


「真面目で仕事熱心なところ、素直で謙虚なところ。丸くてキラキラした瞳とか、少しもスレてない黒髪とか。
 ちっちゃくて、ちょこちょこしてて、危なっかしいことに気づいてないところとかは、守ってあげたいと思うな」

「も、もう大丈夫ですっ。ありがとうございます!」

「まだだよ、たくさんあるのに。あとは……」

「匠海さん!」

「そうやって俺を名前で呼んでくれるところとかは、もうたまらないな」

「そ、それはだって……」


 嬉々として語る匠海に、美郷は顔の火照りを両手で覆う。


「ああ、それから」

「まだあるんですか!?」


 これ以上はもう辱めのレベルだ。

 また目を回しそうになり、せめてもの自己防衛策として耳を塞いだ。

 それでも構わず話し続ける匠海は、少しだけ声のトーンを落として言った。


「必死にアプローチする男なんかに決して揺らがずに、婚約者のこと大切にしようとしてるところ、かな」
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