略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

「あとで詳しく聞かせてもらいますからねぇ!」

「だ、だから、これは何も……」


 美郷の両肩にしっかりと手を乗せた理子は、つぶらな瞳を物凄い圧力でぎらつかせた。


「それじゃあ、あたしはコンビニ行ってきまーすっ。
 あ、時間は気にしないでください。課長には上手いこと言っておきますからっ」


 ひらひらと手を振って固まったままの美郷を見捨てる理子。

 スカートとピンクのカーディガンを翻した彼女のいなくなった場所を見つめ続ける美郷の後頭部に、匠海は声をかけた。


「気の利く子ですごくありがたいな。ねぇ美郷?」


 ぎぎぎ、とブリキのおもちゃのように首を振り向かせ見た匠海は、不気味なほどにこやかな笑みを浮かべていた。


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