オブジェのある公園
院長「うるさいぞ!!!」







「………………」






先輩「……院長先生……」




元彼「お、お父さん!」




先輩「…悪いな ユウジロウ……

初日から 仕事クビだ。」





「え? マジッすか???」





先輩「そりゃ そうだろ、

こんなとこ、院長に

見られちまったらよ、」





「……すいません」




先輩「謝んなよ!

クビが恐かったら


最初から 殴ってねえよ!」




「じゃあ、先輩、クビ覚悟で?」



先輩「当然だろ、おまえを

あそこまで コケにされて

黙ってられねえだろ、

それに 仕事は探せばあるけど、

俺のかわいい後輩 ユウジロウは

ドコ探したって、 1人しかいないだろ」



「……ホント、すいません」




タッ!



院長「君達は 配送業者だね?」




元彼「そ、そうだよ お父さん、

こいつらとの 取引は

辞めた方がいい!」





院長「……そうだな」






先輩「ご迷惑おかけしました…」




「すいません、俺が 全部

悪いんです、先輩は関係ありません!」





院長「……………ふん」





元彼「は、早く 帰れ!

うちとの 取引は終わりだ!

……ご苦労だったな」






「……ちくしょう…」







院長「うちとの取引を辞めるなら

おまえも、辞めてもらう!」



院長は、厳しい顔で、元彼(むすこ)

を、指差した。





元彼「…ぼ、ぼくが、辞める…?」



院長「……おまえ、ヒカルさんを

苦しめとるな?」




元彼「……ヒカルを?…まさか…」






院長「ワシが、知らんとでも

思ってるのか」





元彼「…………?」





「……ヒカルのお母さんの事か…」






院長「おまえ、少し 勘違い しとるな?」





元彼「……勘違い…」





院長「本物の医者に

なりたかったら、

人の気持ちを もう少し 考えたらどうだ?」





元彼「……人の気持ち…!?」



院長「今すぐ ヒカルさんを

自由にしてやりなさい」





元彼「……ヒカルを…自由に…」





院長「そうだ!

ヒカルさんの お母様は

うちで 面倒みる

……いいな?」





元彼「……は…はい」





院長「それから、君達は、

今後 2人での 立ち入りを禁止する」




先輩「……はい、わかりました」




院長「これからの、配送は、

1人で やる事。 ……いいな?」





先輩「…それじゃあ、取引も…」



院長「もちろんだよ、君達の

先代の社長さんには

どれだけ世話になった事か、

そんな簡単に 切れるような

関係じゃないよ」





先輩「あ、ありがとうございます」

「……ありがとうございます」




元彼「………チッ」




院長「それでは、ワシは

業務に戻らさせてもらうぞ、



…それから ハヤト!

お前の処分は後日 連絡する!

よいな!?」





元彼「しょ、処分?……ハア〜


わかりました…」




先輩「どうも、すいませんでした」




「……すいませんでした」






こうして、院長の出現で

全ての事が 解決された。






ヒカルは 自由の身となり


俺とヒカルは 本当の 恋人どうしになった。









ーそれから 三日後ー

澄み切った青空の下

俺とヒカルは あの公園にいた。



「なあ、ヒカル、キスしていい?」



ヒカル「や〜〜だ よぉ〜〜」





ガタン



チュっ



「え?」


ヒカル「私から するのはイイの」


「はい、はい、主導権はお前だもんな?」


ヒカル「そういうこと!」




リンリーン

リンリーン


ヒカル「あれ、病院から電話だ」


「…!?」




ヒカル「はい…………はい…………


………わかりました………


今すぐ、行きます」


ピっ…



電話を切った瞬間 ヒカルは 泣き崩れた。


「おいっ、ヒカル!」



ヒカル「……うっうっ……お、お母さん

……お母さんが……」




ヒカルのこの姿を見て 俺はすぐに悟った、

きっと ヒカルのお母さんが旅立ったと……









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