届け、響け、繋がれ
届け、響け、繋がれ
「あっ…」
痛恨のミス。
手に持っていた辞典が見事にカバーから逃亡した。重々しい音が図書室に響く。
目線が集まり恥ずかしくて慌てて辞書を引っ掴んだ。
大学入学して2度目の夏休みがもう終わりそうだ。
相変わらずこの図書館は人気スポットみたいで学年問わず人がいる。
「シャーペン。落としたよ?ドジ」
聞きなれた声で目の前に突きつけられたシャーペンと白く滑らかな手。
優しいふわっとした声のせいで浮かれそうになるけど…
「…ありがとうございます。先輩今、ドジってまた言いませんでした?」
「…さぁ?」
軽くあしらわれてむっとしてわざとらしくほっぺを膨らませてみるもぐっと抑えられて強制終了。
この無駄にイケメンで何かと大学で目立ってる男子生徒、朝倉亜弥はシネマソサエティというサークルの先輩だ。映画を見る部活なのだが、この先輩は自ら作ってよく私たちに見せてくれる。
その映画は、創れば賞間違いなしとまで言われて10代から人を寄せつけて才能も思うがまま。
私の憧れだった。ただそれだけだったはずなのに。
痛恨のミス。
手に持っていた辞典が見事にカバーから逃亡した。重々しい音が図書室に響く。
目線が集まり恥ずかしくて慌てて辞書を引っ掴んだ。
大学入学して2度目の夏休みがもう終わりそうだ。
相変わらずこの図書館は人気スポットみたいで学年問わず人がいる。
「シャーペン。落としたよ?ドジ」
聞きなれた声で目の前に突きつけられたシャーペンと白く滑らかな手。
優しいふわっとした声のせいで浮かれそうになるけど…
「…ありがとうございます。先輩今、ドジってまた言いませんでした?」
「…さぁ?」
軽くあしらわれてむっとしてわざとらしくほっぺを膨らませてみるもぐっと抑えられて強制終了。
この無駄にイケメンで何かと大学で目立ってる男子生徒、朝倉亜弥はシネマソサエティというサークルの先輩だ。映画を見る部活なのだが、この先輩は自ら作ってよく私たちに見せてくれる。
その映画は、創れば賞間違いなしとまで言われて10代から人を寄せつけて才能も思うがまま。
私の憧れだった。ただそれだけだったはずなのに。