【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
「えっと……それは、あの、えー……」
「俺の奥さんっていう永久就職」
いよいよ衝撃で立ち止まってしまう。
摘んでいた私の頬から手を離し、市來先生は先を歩いていく。
ちらりと振り返り「置いてくぞー」と、本当に先を歩いていってしまった。
あんな出会い方をした市來先生と、こんな話をする日がくるなんて考えもしなかった。
あの日、普段ははずれてばっかりのくじ引きで当たりを出したことも、
縁もゆかりもないバーに行ったことも、
営業先が変わったことも、
全てが市來先生と結ばれる未来のためだったのかもしれないなんて思ってしまう。
「あのっ、その話は、その――」
「今からじっくり教えてやるから、行くぞ」
「あっ、待ってください!」
いつか本当にそう思える日がきたらいいな、と思いながら、愛しい背中を追いかけていった。
Fin*