【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
そういえば今日は仕事後の格好で、クリーム色のセットアップのパンツスーツ姿。
こういう格好で来ていいところなのかと、腰を落ち着けてから心配になった。
なるべく浮かないように、さりげなく周囲を見回す。
ぽつぽつと見えるお客さんの装いは、スーツの男性やキレイ目カジュアルの女性だった。
これでも大丈夫そうだとホッとしながら、ふと、今日は、一番お気に入りのセットアップで仕事に行ったんだっけ、なんてことを思い出した。
今日は椎名先生に会う、最後の日。
そして、告白をしようと思って気合いを入れ、服も一番のお気に入りを着て出かけたのだった。
だけど、全部終わっちゃった……。
急に今日のことを思い出して悲しくなってくる。
「いらっしゃいませ。何をお作りいたしましょうか?」
「…………」
「……お客様?」
「あの私、今日、失恋したんです。なので、そんな私に一杯、作っていただけますか?」