【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
それから――。
朦朧としながら何気なく覗き込んだ腕時計の針が差していた時刻は、二十三時を回っていた。
「――私のどの辺がダメだったんでしょうか? どう思いますかぁ?」
あれから何杯飲んだのか、自分ではもう考える思考力も危うい。
聞くよと言ってもらって、椎名先生との出会いから、好きになったきっかけ、そして今日告白して振られたまでのことを順を追って話していった。
その間、彼は相槌をうつ程度で黙って話を聞いてくれていた。
「そろそろやめておくか」
グラスを手に取ったところで、彼の手が私からグラスを抜き取る。
「まだ飲ませてください」
抗議する私をフッと笑って席を立ち、突然私の腕を掴んだ。
「立って」
「えっ?」
言われるがままずっと掛けていた席を立つと、自分のものではないみたいに足元がぐらついた。