【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
ポロポロと涙が溢れてきてしまい、咄嗟に目元を抑える。
「ごめんなさい……」
散々話を聞いてもらって、挙げ句の果てには泣き出すなんて、相当面倒臭い女だ。
今日の自分には心底うんざりする。
「あのっ……たくさん、ありがとうございました……私、平気なので、置いて、帰ってもらって大丈夫、なので……」
涙を飲み、見ず知らずの私に付き合ってもらったお礼を口にする。
頭の上にあった大きな手が後頭部を滑り、肩に触れると、少し強引な力で抱き寄せられていた。
「こんな泣いてる子置いて帰れると思うか?」
仕方なさそうにフッと息を漏らすのが耳元で聞こえる。
急接近すると、ふわりとシトラス系の上品な香りが鼻孔をくすぐった。
「大丈夫です、本当に、大丈夫なんで……」
近付いた距離に困惑して、隠すように顔を両手で覆う。
抱き寄せられたまま、彼のもう片方の手にその手を剥がされた。