【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
「おいおい、どうしたの中条!」
「ぶはっ!」
デスクに突っ伏して目を閉じていると、背後から勢い良く背中を叩かれた。
危うく吐き出しそうになる口元を押さえて振り返る。
目の前にどアップで臨月のお腹が映った。
「多喜子(たきこ)先輩……ちょっと、いきなりキツいです……」
佐伯(さえき)多喜子先輩。私の三つ歳上で、歳と同じだけ仕事上でも先輩。
去年、三十路と共に結婚を決め、現在は産休を間近に控えたマタニティママさんだ。
多喜子先輩が産休に入ることになって、今回の担当先の調整が必要になったのだ。
入社当時から面倒を見てくれている多喜子先輩は私の憧れの存在。
ゆるふわのロングヘアと、色白でスラリとしたスーツ映えするスタイル。
ナチュラルメイクでも顔立ちがはっきりしているから美しく、そこに独特の艶っぽさがあるのだ。
それに比べて、私なんか揃った前髪に特に手を加えていないロングヘア。
女性らしい色気なんてものは皆無だ。