【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
「何? 二日酔い?」
「はい……ちょっと、調子乗りました」
げっそりしながら答える私を覗き込み、多喜子先輩はふふっと笑う。
私のとなりの自分の席に腰を下ろし「珍しいじゃん」と言った。
「中条、飲み会じゃ後半は烏龍茶になっちゃうのに、そんなに飲んだりするんだね」
多喜子先輩には、営業先で気になる先生がいると、椎名先生のことは話題に出していた。
だけど、告白して玉砕した話はやっぱりできない。
「本気だったの⁉︎」なんて言われて、根掘り葉掘り聞かれるのも癪だ。
だから、この二日酔いの理由は話せない。
「でもほら、一回記憶飛ぶくらいまで飲んで、自分の限界を知っておくのも大事だとか言うじゃん?」
「そんなこと、言います? 聞いたことないですけど……」
「言うんだって! そうすれば以後気を付けられるようになるじゃん?」
デスクの上に重ねて置かれている冊子をパラパラとして、多喜子先輩は「そうそう、中条に渡すものが」とその中から一枚を抜き取った。