【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
なんなのなんなの、なんなのよ⁈
大股でずんずんと長い廊下を歩いていく。
頭の中はパニックの真っ最中で、依然収拾がつかない。
いくらなんでも、こんな偶然ってある?
昨日、たまたま出会って、一緒にお酒を飲み、そのまま朝まで過ごした相手。
あのラグジュアリーなバーにだって行くこともないだろうし、もう二度と会うこともない相手だと思ってた。
『あんなに盛り上がったのに?』
意地悪に口角を吊り上げてそんなことを言う端正な顔が鮮明に蘇る。
確かに勢いだったと言え、あんな風に燃え上がるような抱かれ方をしたのは初めてだったし、私もつい身を任せてしまった。
だけどそれは、もう会わない相手だろうって思ったからで……!
振り払うように頭を横にぶんぶん振って歩いていると、通りがかった廊下の交差点で「あれ、雪音ちゃん?」と不意に声を掛けられた。
「やっぱり雪音ちゃんだ!」
「……芽衣子(めいこ)ちゃん!」
駆け寄ってくる可愛い白衣の天使に思わず笑顔がこぼれる。
芽衣子ちゃんは軽い足取りで私の目の前へとやって来ると、再会を喜ぶようにファイルを抱える私の手にぴとっと触れた。