【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
『まぁなんでもいいが、今から来てもらえるか』
「……えっ、い、今からですか⁉︎」
『頼んだ資料、今日持ってくると聞いていたんだけど』
「あっ……」
多喜子先輩から引き継いだものだ。
今日、衝撃の再会をしたショックで、渡しそびれて病院をあとにしてしまった。
しばらくして他の病院を回っている時に気が付いたけれど、明日も別件であの大学病院には足を運ぶから、その時に寄ろうと思っていたのに……。
『何か問題あるか』
「いえ……問題は、特には」
『別にいいんだ、他からも話はきてるから、そっちに頼んでもいいと思ってる』
「今から伺います! すぐ向かいます!」
〝他からも話が〟なんて言われて、食い気味に返事をしていた。
取れそうな契約を、自分のミスでライバル会社に持っていかれたのでは話にならない。
「ごめん、仕事の呼び出し入っちゃって、せっかく誘ってくれたのに」
通話を終わらせ二人の元へと戻り、バッグから財布を取り出しお札をテーブルへと置く。
「こんな時間から呼び出しなんて、大変だね。気を付けてね」
ひまちゃんの気遣いに「ありがとう」と頷き答える。
「また連絡するね、頑張って!」
「ありがとう、行ってきます!」
芽衣子ちゃんにも手を振り、小走りでお店をあとにした。