【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
一度営業所へと戻り、問題の資料を手にして、その足でタクシーを捕まえた。
まさかこんなことになるとは知らずに少しアルコールを入れてしまったから、社用車には乗れず……。
本当に今日は朝から晩までついてない。
渡したらそのまま直帰できるからいいか、となんとかプラス思考に頭を切り替えた。
会社から十五分ほどで到着した大学病院は、朝来た時とはまた違った雰囲気だった。
病院周辺や敷地内は人が多く見られたけど、暗くなった今はほとんど人の姿はなく、車の往来もほぼない。
正面の外来玄関口はもちろん閉まっていて、入院病棟の通用口から中へと入っていった。
渡しそびれた私が悪いのは重々承知の上だけど、勤務時間外の夜になってから届けに行くのなんて初めてのこと。
過去同じようなことが起こった時も、次でいいよと言ってくれた先生ばかりだ。
とりあえず、朝行った科に向かえばいいのかな?
入院病棟側から照明が落とされた外来方面へと向かっていると、後方から「おい」と声をかけられた。