【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
未だに信じられない。
近くで接すれば接するほど、本当に昨晩、この人と私なんかが一緒にいたのかと思ってしまう。
そう疑うほど、私とは人種が違うのだ。
チラリと盗み見る横顔は、息を呑むほど整い美しい。
気付かれないように、すぐにフロントガラスの先に視線を移した。
「ありがとうございます。停めやすいところで、お願いします」
住まいの近所が近付いてきて、ハンドルを握る先生に声をかける。
「家の前まで送るけど」
「いえ、大丈夫です。買い物もして帰るので」
ちょうどコンビニも見えてきて、そんな理由も付け加えてみる。
すっと滑らかに路肩へ車が停車した。
「本当は食事にでも連れていってやりたかったけど、悪いな」
「えっ⁉︎」
「今日はこれから顔を出さなきゃダメな用がある」
運転席のドアを開けて車を降りながら「お偉いさんたちとの、つまらない集まりだけどな」と、仕方なさそうに呟く。
すぐにこちら側にやってきて、助手席のドアを開けた。