【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
いろいろと反則です
翌日――。
出社してパソコンを立ち上げ、朝のメールチェックを行う。
ぼんやりと画面を眺めていると「おっはよ〜」と背後から多喜子先輩の声が聞こえた。
「おはようございます」
荷物をデスクの上に起き、大きなお腹を抱えて椅子へと腰を下ろす。
つい「よっこらしょ」と言ってしまうのが嫌だなんて言っていたけど、人が一人お腹に入っているんだから仕方ないと思っていつも見守っている。
多喜子先輩はもう外回りの仕事はせず、デスクワークを主として引き継ぎを行なっている。
そうなってからは、服装もお腹が楽なワンピースを着て出社している。
「昨日、渡してくれた? 市來先生」
「あ、はい、なんとか」
多喜子先輩は昨日、妊婦健診のためお昼過ぎに退社した。
よって、私が朝の訪問で資料を渡しそびれたことを知らない。
もちろん、そのあと夜になって届けにいったことも知らない話だ。
「そう、ありがとう」
「あの、多喜子先輩……あの市來先生って人、私ちょっと苦手かもしれません」