【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛


今日で椎名先生に会えるのも最後。

だから、勇気を出して、かなり振り絞って、気持ちを伝えた。

『ずっと、先生のことが好きでした』って……。

それに対して『その気持ちだけ、ありがたく受け取っておくよ』って、やんわりだけど確実にお断りされてしまった。

極め付けは『また、どこかで会うことがあれば』なんて言われてしまったのだ。

出向くたびに、椎名先生はMRの私なんかに優しくて、いつも歓迎してくれていた。

担当が変わると伝えた時も驚いて、残念がってくれていた。

だから、もしかしたら脈ありの可能性もあるかもなんて、ちょっと期待していた部分もあった。

そんな淡い期待を抱いて伝えた想いは、見事に砕け散ってしまった。

そのあとの仕事はぼんやりとしたまま、やるべきことを事務的にこなしていく一日となった。

早々に帰社し、今日各所で依頼された資料の手配などの事務作業を済ませる。

終業時間きっかりに席を立ち「すみません、今日はお先に失礼します」と、まだ各々デスクに向かう面々に断り会社をあとにした。

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