【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
ねずみとウサギと



「では、よろしくお願いします。失礼します」


八月上旬――。

外はギラギラとした夏の太陽が照り付けている。

今日は最高気温が三十五度近くなるなんて恐ろしいことを、朝の天気予報でが伝えていた。


扉を出て「ふう」と一呼吸。

大学病院内を一通り回って、残るは脳神経外科への訪問。

といっても、今日は出向く予定は特になかった。

ちょうどここの薬剤部を回っている最中に、市來先生から着信が入った。


『来てるなら、帰りでいいから顔見せにこい』


駐車してある営業の車でバレたのか、どこかで姿を見かけられたのか、先生は私が訪れていることを知った上で連絡をしてきたようだった。


「あっ、雪音ちゃん!」


一階の外来受付付近を、邪魔にならないように壁に沿って歩いていた時、正面からやって来た芽衣子ちゃんに声をかけられた。

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