【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
椎名先生へ募らせた想いを、確かにあの日、市來先生に散々語ったかもしれない。
あんなにショック受けて泣くくらい好きだったんだし、なんて言われても仕方ないくらい、私の酔いっぷりも酷かったのだと思う。
でも、市來先生が脈がありそうだとか、もう一度アタックしたらうまくいくだとか、そんなことを言うたびに気持ちが陰った。
どうして、平然とそんなことが言えるのだろうとも思った。
だけど、市來先生は何もおかしなことを言っていない。
フラれたと泣いた私が、今度はうまくいくかもしれないと、ただ前向きな意見をくれただけだ。
それなのに私ときたら、なんであんな言い方を……。
市來先生の優しさに、どれだけ救われたかわからなのに。
用もないのに、病院内を歩く足が脳神経外科の外来へと向かっていく。