サッカーの王子様

「「おはよ」」

同時に返ってきた二人からの
おはようの挨拶

「空ごめんね…空が登校初日も教室一人で入るの苦手ってことすっかり忘れてて…」

優羽が申し訳なさそうに謝ってくる

私は登校初日に一人で教室に入ることが
小学生の頃からずっと苦手で
だからいつも優羽が側にいてくれて
私と一緒に教室に入ってくれてた

『ううん…いいよ。優羽だって昨日いろいろと考え事してたみたいだし、私のことまで考えてもらうわけにはいかないよ』

そう言って少しだけ笑うと

「空…違うんだよ。忘れてなんかないんだよ?本当はテストしてたんだよ?」

真実がそう口を挟んできた

『テスト?』

私がそう聞き返すと

真実は頷き

「ちゃんと空は自分一人でこの教室まで
入って来れるかなって」

と言った。

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