悪魔に恋した少年
君に ~紗奈side~
いつも笑わない少年が居た。
その子は両親が養子と迎えた子だった。
灰色の羽を生やしたその少年を初めて見たとき、私は何て美しい羽なんだろうと思ったのを忘れない。
それと比べ私の羽は何て黒くて醜い羽なんだろうか。
「紗奈っ」
「…え?」
急に名前を呼び出されてビックリする私。
そんな私に呆れたようにため息を吐く灰色の羽を持つ彼、忠史(タダシ)
「お前もう人間界に来るな、人間に羽を見られちまったんだろ?」
ズキン
これが忠史なりの優しさなのは分かってる。
でも私は忠史に会いたくて人間界に来ているのだ。
そんな事を言われて傷付かない訳がない。