キミがくれた世界
それから10分後…

ケンタはすっかり大人の男性になった。


遠くから飲み物を持った女性が現れて、ケンタとケイコに笑顔で話しかけている。

その女性はケンタの奥さんなんだろう。

そう僕は思った。

もう僕の事はすっかり忘れているだろう。


「久しぶりに遊園地を散歩してみるか。」


僕は遊園地の散歩を始めた。


美味しそうなクレープが売ってた。


つい、昔の癖でクレープ屋さんに並んだ。


「イチゴチョコクレープひとつ」
「いや!二つください!」


え?誰だ?


「あなたは…」
「初めまして。になるのかな?私の名前は北里 美夜(きたさと みや)って言うの。私、あなたの事と知ってる。」
「え?」


僕の事は誰も知るはずがないと思っていたのに。


「実はさっき、あの男の子の事大人にしてた姿ずっと見てた。」
「え?」

僕の頭のなかは真っ白だった。

「どういうことですか?」
「えーっとね、簡単に言うとあなたと同じ。って言えばいいのかな?」
「え?」
「え?以外なにが言って欲しいんだけど~。」

彼女の機嫌がすこし悪くなってきた気がする。

「あ、えと~。僕のこと、どうして知ってるんですか?」
「それはね、君のお母さんの友達の娘だから!…って言えばいいかな?」
「じゃぁもしかして…幼馴染み?」
「ピンポンピンポン!大正解!」
「…ごめん。僕、記憶が…」
「うん、知ってる。だから大丈夫だよ!」


大丈夫って言ってくれるここにいる彼女は本当に幼馴染みなのだろうか、それとも、俺が作りだした誰かなのだろうか。


このときはまだ何も彼女の正体はわかっていなかった。




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