剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
「まずこれを展開整理して」
「は、はいっ」
「で、この2次不等式を解くのにこの2次方程式の解は虚数になるから判別式を使って」
「えぇと…あ、待って。グラフ書くから」
「うん」
学校からの帰り、私は香取くんのおうちにお邪魔して苦手な数学を教えてもらっている。
「香取くんは凄いよ。こんな難しい問題解いちゃうんだもん」
「別に普通だよ」
香取くんは何食わぬ顔でりんごジュースを飲む。
(香取くんはいつもそう)
何があってもいつも平然としてて。
それはたとえ試合で怪我しても…
グラスをあおる彼の横顔をじっと見ていると、飲み干した彼が訊ねる。
「何?」
「あ、ううん…」
「何か腑に落ちないって顔してる」
「…うん」
香取くんにはお見通しだ。
「あのね…
何で最初あんなに剣道部入るの嫌がったのかなぁ、って」
「あぁ、それ」
香取くんはグラスをことんとテーブルに置いて、小さく息を吐く。
「準決勝で当たったS商業の副将、あれ、中学の同級生なんだ」
「河原で香取くんを殴ってた人、だよね…?」
「あぁ」