剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
香取くんの話によると、その人は子供の頃から剣道をやっていて、かなり上手かったのだそうだ。
中学で一緒の剣道部に入ると、初心者の香取くんにもとても親切で防具の着け方やら竹刀の扱い方やら教えてくれたらしい。
それがいつしか香取くんが上級生に混じって試合に出るようになると、次第に態度が変わっていった。
そして小さな嫌がらせは次第に暴力へとシフトしていった。
知らず知らずのうちに誰かを追い越してしまって相手を傷付けていることに気付いて、香取くんは心を痛めた。
期待してくれる他の部員や先生の為に中学の間は剣道を続けたけれども、だから高校に入ったのを期に止めたんだ、と彼は言った。
「でも結局中学の三年間、俺が注いできたものが何もなくなって。だから星宮が『真剣に生きなさいよ!』って言った時は、あぁその通りだな、って思った」
「ごめん…」
「いや、ホントにその通りだから。
それより『嫌いだよ』にはかなり傷付いたけど」
「ごっ、ごめん…」
「いや、むしろそれもありがたかったと思ってる。こうしてまた真剣に打ち込めるもの─剣道に戻れる契機になったし。
それと…
剣道に戻ったことで気付いたことがあったから」
「何?」
訊ねると、香取くんは急に覗き込むように顔を寄せた。
「星宮のことだよ」
「え…?」