剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
(綺麗な人…)
まさかこの人が『社会人の彼女』…?
ドキドキと打ち鳴る嫌な心悸。
「お茶のお代わり持ってきたわよ~
って、あらあっ?お客様ぁ?」
クールビューティーな彼女がわざとらしく言って、私に眼を向ける。
「いらないから帰って」
「まー!透真くんつれないのねぇ。
あら?もしかして透真くんの彼女さん?」
「分かってるなら帰って」
(『分かってるなら』って…)
私は勝手に照れながら香取くんと香取くんのすげない返しにもめげない彼女のやり取りをおろおろしながら見ていた。
「いいじゃない!私だってやっと出来た未来の『妹』とお喋りしたいしぃ。
ねぇ?そう思わない?…えーと」
「あ…星宮です。星宮瑠璃」
「そうそう、瑠璃ちゃん!」
「気安く名前で呼ぶなよ」
「何よ?透真くんだって名前で呼ぶくせに」
「……」
「何その沈黙?
えっ!やだ!まだ名前で呼んだこともないの!?」
「…うるせぇな」
「瑠璃ちゃんごめんなさいねー。この子こんなシャイボーイだけど中身はとってもいい子なのよー。仲良くしてあげてね~」
「あ…は、はい…大丈夫、知ってます…」
「あーそれはよかったぁ!
透真!早く甥っ子か姪っ子の顔見せなさいね!
あ、でも彼女が出来たとなると透真くんもう私とショッピング行ってくれないのかぁ…」
「もういい加減にしろ!」
しびれを切らした香取くんが立ち上がり、彼女を強引に部屋から追い出した。
「やーん!もう、つれないんだからっ!
瑠璃ちゃーん、今度私とお買い物行こっ!ご馳走してあげる!!」
パタン…
香取くんが扉を閉める。
「香取くん、あの…」
「ん。歳の離れた俺の姉貴」
「え…」
お姉さん、なんだ…?
(そっか、きっとあのお姉さんにお買い物に連れていかれるところを見られて勘違いされたのね)
「なんか悪いな」
「ふふっ。楽しいお姉さんだね」
私が言うと、香取くんは苦笑いした。
「あぁそうだ。忘れないうちに星宮に言っとくことがあった」
香取くんは私の隣に腰を下ろすと、真面目な眼差しを私に向ける。