剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?

「星宮」


 俺は席を立ち上がり名前を呼んだ。

 こちらを振り向く星宮にずかずか近付くと、飯沼を押し退けて彼女の前に立った。


「英語のノート貸して」


 星宮の大きな眼がぱちぱちと瞬きする。
 綺麗だな、なんてぼんやり思った。


「え、俺の貸すよ?」

 飯沼が言う。

「いや、いい」

 空気読めよ。
 俺は星宮から眼を離さず飯沼に答える。


「あ…うん、いいよ全然」


 星宮がバッグからノートを取り出して俺に渡した。


「分からないとこあったら聞くから隣座ってて」

「え、あ…はい…」


 飯沼から引き離したくて呼んだなんて俺の胸の内も知らず、星宮は素直に俺の隣に座る。

 そんなだから余計お前のこと心配になるんだよ…


 そのうち星宮の友人が呼んだ。

「瑠璃ー、帰るよー」

 聞こえないふりでしっかり星宮のノートを押さえ込む。


「…ごめん、先帰ってて」

「んー。じゃまた明日ね」
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