剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
「何やってんだよ?」
「あ…昼休み野々村先生のとこ行ったらこれ貼っとくように言われて…」
「…降りろよ」
「え…?」
「早く降りて」
香取くんは相変わらずノートに視線を落としたまま言った。
「あの…」
「どうせ届かないんでしょ?」
「あぁ、うん…」
私は落ちないように慎重に教卓から机へ、それから上靴の上へと降りた。
ようやく香取くんがノートから眼を離し立ち上がる。
香取くんは私の横をすっと通り抜けるとさっさと上靴を脱いで身軽に机に上がる。そして楽々と一期一会をテープで貼り付けた。
(さすが…やっぱ背高いといいなぁ)
なんて見上げてるうちにまた香取くんはさっさと降りて、机を片付けてしまう。
「あ…ありがとう」
香取くんが私の方に眼を向けた。
「何で言わないの?」
「へっ!?」
まさか何か問い掛けられるとも思っていなくてすっとんきょうな声が出た。
「日直の仕事でしょ?何で俺に言わないの?」
「ご…ごめんなさい」
そりゃそうですよね。私が苦心惨憺するより香取くんにやってもらった方が早いよね。
「野々村も人に一期一会とか言うより、まず自分が適材適所って言葉覚えた方がいい」
(確かに…)