剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
3
「ありがとう。遅い時間までごめんね」
星宮のマンションの前まで送ると彼女が言った。
そして可愛い笑顔を俺に向ける。
「…ん」
その顔が眩しくて俺は短く応えて眼を逸らす。
(もう少し一緒にいたい…)
どうして祭りの後というのは空気を切なくするんだろう。
ただでさえ星宮を離したくないのに、俺を更に我が儘にする。
「……」
「……」
星宮の前髪を風が揺らす。
夜風とふたりの呼吸だけが聞こえるような、静かな夜。
頼りない星明かりの下、俯く彼女がやけにか細く見えた。
抱き締めたら、壊れてしまいそうに…
(それでもいいかな、誰かに盗られるくらいなら)
本当は君が欲しい─
そう言ったら、ねぇ、やっぱり君は困る?
俺の好きなところがたこ焼きの食べ方だけでも我慢するなんて、嘘。
君が欲しい。全部欲しい。
その唇も、その心も。
ねぇ星宮、俺のこと好きになってよ?
誰かに盗られないうちに俺のものにしてしまわなくては、というどうしようもない焦燥感─