剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?


「知世、あの人…」


「あれはね



香取くんだよ」




「二本目っ!!」

「やぁぁぁぁっ!」


(あぁ、やっぱり香取くんなんだ…)


 香取くんが中段に構える。背筋も腕もぴしりと伸びて、背の高い香取くんが何時にも増して大きく見える。


「キェアァァァァ!!」

 大将の気合いみなぎる声。


(香取くん、頑張って…)

 私は思わず胸の前で両手を握り締める。


 間合いを見極めながら二人、じりじりと動く。そこにはお互い一分の隙もない。


「とーぉぉぉう!」

 打ちかかる香取くんの竹刀を大将のそれが受け止める。

 パァーン、パン、パンッ!!


 ダンダンッと床を踏む音。叫ぶような掛け声。

(香取くん!)

 それをただ固唾を飲んで見守るしか出来ない私。


 しばらく拮抗していた中、不意に香取くんが動いた。

「面ーーーッ!!」

 切っ先が美しい弧を描き、振り下ろされる。

 一瞬、その場にいた皆が息を飲んだ。

 スローモーションみたいに彼の竹刀が大将の面を打つ。


 パァァァーーーン!!


 刹那の間。そして─


「面あり!勝負あり!!」
< 21 / 131 >

この作品をシェア

pagetop